東京高等裁判所 平成11年(行ケ)305号 判決 2000年9月26日
原告
エービーテトラパック
代表者
【A】
訴訟代理人弁理士
【B】
【C】
【D】
【E】
【F】
【G】
【H】
被告
特許庁長官【I】
指定代理人
【J】
【K】
【L】
主文
特許庁が平成10年審判第20210号事件について平成11年8月12日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1原告の求めた裁判
主文第1項同旨の判決。
第2事案の概要
1 特許庁における手続の経緯
原告は、1981年(昭和56年)10月8日スウェーデン国においてした特許出願に基づく優先権を主張して、昭和57年10月8日「包装積層品をヒートシールする装置」なる発明について特許出願をしたが(特願昭57-177486号。原出願)、その一部を新たな出願とするため、平成4年9月30日にこれを分割して特許出願をし(特願平4-262343号。本件出願)、平成7年4月5日出願公告があったが、特許異議の申立てがあり、平成10年9月22日拒絶査定があったので、平成10年12月21日審判請求をし、平成10年審判第20210号事件として審理された結果、平成11年8月12日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同月25日原告に送達された。
2 本願発明の要旨
【請求項1】
A. 繊維質材料の支持層(1)の内側にアルミ箔等の導電性材料層(4)を有し、さらにその内側に熱可塑性材料層(3)を有する一対の積層材料(10,11)を互いに、その最内層である熱可塑性材料層(3,3)間でヒートシールする装置において、
B. 前記熱可塑性材料層(3,3)同士を互いに接触させて該一対の積層材料(10,11)を外側から押し付けるための平坦な作用面を有するシールジョー(5)が設けられ、
C. 該シールジョー(5)は、非導電性の本体(6)と該本体(6)の一方の側面に設けた導電性の棒(7)とで構成され、
D. 該棒(7)は、
D-1. 該一方の側面とで前記平坦な作用面(8)を構成するとともに、
D-2. 前記一対の積層材料(10,11)の導電材料(4)をシール帯域(13,14)以内で高周波誘導加熱し溶融するべく高周波電源に接続されるようになっており、
E. もって該作用面(8)により前記一対の積層材料(10,11)の最内層である熱可塑性材料層(3,3)同士が前記シール帯域(13,14)およびその両側両外側帯域で互いに圧接されるようにされ、
F. さらに前記導電性の棒(7)には、該シール帯域(13,14)以内で、高周波加熱により溶融された熱可塑性の材料層(3,3)をシール帯域(13,14)の中央領域(13)から同シール帯域(13,14)の両外側領域(14)へ押し出し堆積させるため、前記作用面(8)と実質的に垂直な側面を有して突出する凸状(9)が設けられている
G. ことを特徴とする積層材料のヒートシール装置。
(A.~G.の記号は、便宜上付与したもの。)
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記シールジョー(5)に対向してかつ一対の積層材料(10,11)をはさむように対向ジョー(12)を設けたことを特徴とする積層材料のヒートシール装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記シールジョー(5)および前記対向ジョー(12)の内部に、該シールジョー(5)および前記対向ジョー(12)と接触する積層材料を冷却するための冷却導管を設けたことを特徴とする積層材料のヒートシール装置。
3 審決の理由の要点
(1) 原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由となった特許異議の決定に記載した理由の概要は、本願特許請求の範囲第1項に記載された発明(本願第1発明)は、原出願の特許請求の範囲第3項に記載された発明(原発明)と実質的に同一であって、本件出願は適法に分割されたものとは認められず、現実の出願日である平成4年9月30日に出願されたものとして取り扱われるから、本願第1発明は、その出願前に頒布された特開昭58-134744号公報(原出願の公開公報)に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。そこで、この原査定の理由について以下検討する。
(2) 分割の適否についての検討
原発明は、平成7年12月31日付け訂正請求により訂正された明細書の特許請求の範囲第3項に記載された次のとおりのものである。(なお、この訂正請求を認めた平成6年審判第5323号についての平成8年9月19日付け審決は、平成10年10月7日言渡しの東京高裁平成8年(行ケ)第264号審決取消請求事件判決により、確定している。)
a. 積層材料(10,11)をヒートシールするための装置にして、各積層材料は、熱可塑性材料層(3)と、導電性材料層(4)と、繊維質材料の支持層(1)とを有し、かつ各積層材料は、その一表面を覆いかつ該積層材料の融点より低い融点の熱可塑性材料の外層(3)を有し、
b. 前記熱可塑性材料層(3)を、中央シール帯域(13)及びその両側シール帯域(14)に沿って互いに重ね合わせるとともに、該両シール帯域(13,14)以内で互いに接触させ、
c. 前記積層材料同士(10,11)を両シール帯域(13,14)内で細長いシールジョー(5)と対向ジョー(12)との間で圧して加熱し、溶融した熱可塑性材料を冷却固化させるようにして、前記積層材料同士(10,11)をヒートシールするための装置において、
d. 前記シールジョー(5)は、
e. 前記熱可塑性材料層(3)を含む前記積層材料(10,11)を、前記両シール帯域(13,14)に沿って、前記対向ジョー(12)に対して押し付けるための平らな押圧表面を有する本体(6)と、
f. 該本体(6)の平らな押圧表面に形成された溝と、
g. 該溝内に嵌合され、且つ前記本体(6)の平らな押圧表面に一致するようにされた作用面(8)を有し、前記熱可塑性材料を溶融材料にするように前記熱可塑性材料層(3)を加熱するための導電性加熱棒(7)とを含み、
h. 前記細長いシールジョーの作用面(8)は、前記両側シール帯域(14)に沿って、前記熱可塑性材料層(3)の一つに押し付けられるようになっており、かつ、
i. 前記作用面(8)には、該作用面から突出する断面がほぼ矩形の平らな先端面を有する突条(9)が設けられ、
j. 前記加熱棒(7)に高周波電力を印加するとともに、前記中央シール帯域(13)以内において、前記突条(9)の先端面で前記熱可塑性材料層(3)を互いに押しつけるようになっており、これにより、前記熱可塑性材料層(3)は、前記シール帯域(13,14)内で溶融して、溶融した熱可塑性材料が前記導電性材料層(4)の表面より流出されるが、これが、前記シール帯域(13,14)の外側の前記熱可塑性材料層(3)の溶融していない部分によりせき止められるようになっている
k. ことを特徴とする積層材料のヒートシール装置。
(a.~k.の記号は、便宜上付与したもの。)
(3) 本願第1発明と原発明との対比
(3)-1 本願第1発明も原発明もともに、積層材料のヒートシール装置である点で差異はない(A.G.及びa.c.k.)。
(3)-2 積層材料について、本願第1発明は「A.繊維質材料の支持層(1)の内側にアルミ箔等の導電性材料層(4)を有し、さらにその内側に熱可塑性材料層(3)を有する一対の積層材料(10,11)」と規定し、原発明は「a.各積層材料は、熱可塑性材料層(3)と、導電性材料層(4)と、繊維質材料の支持層(1)とを有し、かつ各積層材料は、その一表面を覆いかつ該積層材料の融点より低い融点の熱可塑性材料の外層(3)を有し」と規定しており、原発明が熱可塑性材料層(3)、導電性材料層(4)、繊維質材料の支持層(1)の位置関係について特定していない点、及び本願第1発明が熱可塑性材料が積層材料の融点より低い融点であることを特定していない点で、両発明には表現上の差異がある。しかし、原発明においても、導電性材料層に高周波加熱を誘起することにより熱可塑性樹脂層の一部を溶融してヒートシールするものであることは明らかであるから、繊維質材料の支持層(1)、導電性材料(4)、熱可塑性材料層(3)の順に配置されていることは自明であり、また熱可塑性材料の融点において積層材料が溶融してしまっては積層材料の形態を保持できないこととなることも明らかであるから、本願第1発明においても熱可塑性材料が積層材料の融点より低い融点であることは当然のことといえる。そうすると、積層材料の構成において、両発明に実質的な差異はない。
(3)-3 本願第1発明は「A.一対の積層材料(10,11)を互いに、その最内層である熱可塑性材料層(3,3)間でヒートシールする」と規定しているのに対し、原発明は「b.前記熱可塑性材料層(3)を、・・・互いに重ね合わせるとともに、・・・c.・・・前記積層材料同士(10,11)をヒートシールする」と規定しているから、この点において両発明に相違はない。
(3)-4 本願第1発明は「B.前記熱可塑性材料層(3,3)同士を互いに接触させて該一対の積層材料(10,11)を外側から押し付けるための平坦な作用面を有するシールジョー(5)が設けられ」と規定しているのに対し、原発明は「c.積層材料同士(10,11)を両シール帯域(13,14)内で細長いシールジョー(5)と対向ジョー(12)との間で圧して加熱し、溶融した熱可塑性材料を冷却固化させる」と規定し、さらに「h.前記細長いシールジョーの作用面(8)は、前記両側シール帯域(14)に沿って、前記熱可塑性材料層(3)の一つに押し付けられるようになっており、」と規定しており、本願第1発明がシールジョーを細長いと規定していない点、本願第1発明が対向ジョー(12)を規定していない点、本願第1発明が加熱し溶融した熱可塑性材料を冷却固化させると規定していない点、原発明がシールジョーの作用面を平坦であると規定していない点、原発明が積層材料を外側から押し付けると規定していない点で、両発明には表現上差異がある。しかし、シールは通常線状に行われるから、本願第1発明におけるシールジョーも当然シール形状に対応した細長い形状のものであると認められる。また、シールジョーのみではシールは不可能であるから、本願第1発明においても必ずシールジョーに対向する部材が必要であることは自明であり、対向する部材をジョーとすることも慣用手段であると認められる(例えば、特公昭55-3215号公報の第1図参照)。そして、加熱し溶融した熱可塑性材料を冷却固化させるという構成はヒートシール装置の自明の構成を規定したものにすぎない。さらに、原発明におけるシールジョーの作用面が平坦であることも、「d.シールジョー(5)は、・・・・g.本体(6)の平らな押圧表面に一致するようにされた作用面(8)を有する導電性加熱棒(7)とを含み」と規定していることからみて明らかであるし、原発明がシールジョーにより積層材料を外側から押し付けるものであることも自明である。そうすると、上記表現上の差異は実質的な差異とは認め難い。
(3)-5 本願第1発明は「C.該シールジョー(5)は、非導電性の本体(6)と該本体(6)の一方の側面に設けた導電性の棒(7)とで構成され」と規定しているのに対し、原発明は「d.シールジョー(5)は、e.本体(6)と、f.該本体(6)の平らな押圧表面に形成された溝と、g.該溝内に嵌合された導電性加熱棒(7)とを含み」と規定しており、原発明が本体(6)を非導電性と規定していない点、本願第1発明が本体に形成した溝に導電性加熱棒(7)を嵌合していると規定していない点で、両発明には表現上差異がある。しかし、原発明においても、j.の記載からみて、シール帯域の外側では熱可塑性樹脂が溶融していないから、本体部分は高周波により加熱されない非導電性の材料で構成されることは明らかである。また、異なる材料からなる構成部材を一体化する際、一方の部材に溝を形成し他方の部材を嵌合することは極めて一般的な手段であるところ、ヒートシール装置においてもこのような手段は慣用手段であり(例えば、英国特許第1,367,176号公報(1974)のFIG.2参照)、しかも上記手段を構成要件とするか否かで発明の技術的意味が異なるとは認められないから、この点をもって、両発明が実質的に異なるものであるとすることはできない。
(3)-6 本願第1発明は「D.該棒(7)は、D-1.該一方の側面とで前記平坦な作用面(8)を構成する」と規定しているが、原発明も「e.平らな押圧表面を有する本体(6)と、g.本体(6)の平らな押圧表面に一致するようにされた作用面(8)を有する導電性加熱棒(7)とを含み」と規定しているので、棒は平らな作用面を構成しているものと認められ、また、本願第1発明は「D-2.前記一対の積層材料(10,11)の導電材料(4)をシール帯域(13,14)以内で高周波誘導加熱し溶融するべく高周波電源に接続されるようになっており」と規定しているのに対し、原発明も「j.加熱棒(7)に高周波電力を印加する」こと及び「これにより、前記熱可塑性材料層はシール帯域(13,14)内で溶融」すると規定しているから、本願第1発明と同様の構成をとっていることは自明であって、この点に実質的な差異はない。
(3)-7 本願第1発明は「E.もって該作用面(8)により前記一対の積層材料(10,11)の最内層である熱可塑性材料層(3,3)同士が前記シール帯域(13,14)およびその両側両外側帯域で互いに圧接されるようにされ、」と規定しているが、原発明においても、g.の構成から加熱棒(7)はシールジョー(5)の本体(6)の押圧面と連続して作用面(8)を形成しているのであるから、「b.熱可塑性材料層(3)を、中央シール帯域(13)及びその両側シール帯域(14)に沿って互いに重ね合わせるとともに、該両シール帯域(13,14)以内で互いに接触させ」、「c.両シール帯域(13,14)内で細長いシールジョー(5)と対向ジョー(12)との間で圧」することにより、シール帯域(13,14)のみならず、その両側両外側領域でも圧接されることは自明である。
(3)-8 本願第1発明は「F.さらに前記導電性の棒(7)には、該シール帯域(13,14)以内で、高周波加熱により溶融された熱可塑性の材料層(3,3)をシール帯域(13,14)の中央領域(13)から同シール帯域(13,14)の両外側領域(14)へ押し出し堆積させるため、前記作用面(8)と実質的に垂直な側面を有して突出する凸状(9)が設けられている」と規定しているが、これは原発明の「i.前記作用面(8)には、該作用面から突出する断面がほぼ矩形の平らな先端面を有する突条(9)が設けられ、j.前記加熱棒(7)に高周波電力を印加するとともに、前記中央シール帯域(13)以内において、前記突条(9)の先端面で前記熱可塑性材料層(3)を互いに押しつけるようになっており、これにより、前記熱可塑性材料層(3)は、前記シール帯域(13,14)内で溶融して、溶融した熱可塑性材料が前記導電性材料層(4)の表面より流出されるが、これが、前記シール帯域(13,14)の外側の前記熱可塑性材料層(3)の溶融していない部分によりせき止められるようになっている」との構成と実質的に同じことである。
(3)-9 以上検討したところによれば、本願第1発明は原発明と実質的に同一のものであると認められる。
してみると、本件出願は、原出願の一部を適法に分割出願したものとは認められないから、出願日は遡及せず平成4年9月30日に出願されたものとなる。
(4) 特許法29条1項3号についての検討
本件出願日は上記したとおりであるから、原出願の公開公報は本件出願前に頒布された刊行物である。
原出願の公開公報には、包装積層品をヒートシールする装置について記載され、本願明細書の第1~4図と同じ図面が記載されるとともに、具体的に以下の事項が記載されている。
① 「包装積層品は・・・繊維状物質の中央支持層1を具備し、この層1はその両側を熱可塑性材料の比較的薄い均質な層2,3で覆われている。外側のプラスチック層3の一方と支持層1との間には更にアルミニウムはくの層4がしばしば存在し」(3頁左下欄6~12行)
② 「二つの包装積層品10,12が、シールに備えて、それらの外側の熱可塑性の層が互いに対向するように接合されている。」(4頁右上欄11~14行)
③ 「包装積層品は、シールジョー5と、包装積層品の反対側に対向して位置する対向ジョー12とによって一緒に押し付けられる。このシールジョー5は第2図に示す形式のもので・・・」(4頁右上欄14~18行)
④ 「シールジョー5は、電気的に不導性の材料で作られ、導電性の材料の棒7が挿入される溝を一方の側面に備えた本体6を具備する。」(3頁右下欄4~7行)
⑤ 「本体の一方の側面の中央に位置する棒7は、本体6の周囲の部分と共にシールジョー5の作用面8を形成する。」(3頁右下欄7~9行)
⑥ 「アルミニウムはくを含む積層品の高周波溶接を可能とするために、棒7内の材料を介して、積層品を加熱する領域を高周波方式などの電源に接続することができる。」(3頁右下欄下から3行~4頁左上欄1行)
⑦ 「加工面8には、棒7内に形成された線状突起9が設けられる。突起9は、断面がほぼ長方形であり」(3頁右下欄9~11行)
⑧ 「包装積層品を突起9と同じ高さで一緒に押しやる高い力のために、溶融熱可塑性材料はシール帯域13,14全体の中の高圧の領域13から隣接部分14に走り、または流れ込む。」(4頁左下欄下から7~3行)
上記①、②は本願第1発明のAに相当し、原出願の公開公報の第2図よりシールジョー加工面が平坦であることが認められるから、上記③は本願第1発明のBに相当し、上記④は本願第1発明のCに相当し、上記⑤は本願第1発明のD-1に相当し、上記⑥は本願第1発明のD-2に相当し、上記⑦、⑧は本願第1発明のFに相当し、原出願の公開公報の第3図は本願第1発明のEを示している。
そうすると、本願第1発明と原出願の公開公報記載の発明との間に相違するところはない。
(5) 審決のむすび
以上のとおりであるから、本願第1発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
第3原告主張の審決取消事由
原告は、平成11年10月19日、原出願の発明(平成5年10月28日、特許第1795565号として特許権の設定登録)の特許請求の範囲第3項に記載された発明を削除することを目的とする訂正審判を請求し、平成11年審判第39085号事件として審理された結果、平成12年3月23日、「特許第1795565号発明の明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。」との審決があり、確定した。
これにより、本願第1発明と原出願の特許請求の範囲第3項に記載された発明(原発明)は同一のものではなかったことになり、「本願第1発明は原発明と実質的に同一のものであると認められる」とした審決の認定、判断は結果的に誤りとなり、この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから、審決は取り消されるべきである。
第4当裁判所の判断
甲第4、第5号証及び弁論の全趣旨によれば、原告主張のとおり、原出願の特許請求の範囲第3項に記載された発明(原発明)を削除するについて訂正請求を認める審決(平成11年審判第39085号)があり、確定したことが認められる。これによれば、審決が、削除された原発明と本願第1発明とを対比して両者を実質的に同一のものであると認定したのは、結果的に許されないこととなる。したがって、本願第1発明が原発明と実質的に同一のものであるとの認定を前提にして、本願出願は原出願の一部を適法に分割出願したものとは認められないとした審決の判断は誤りであり、この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであって、審決は取り消されるべきである。
第5結論
以上のとおりであり、原告の請求は認容されるべきである。
(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 裁判官 橋本英史)